05.07.2020 | カテゴリー, Tax
すでに弊事務所の過去Newsletterにてお知らせさせていただいておりますPaycheck Protection Program Loans(PPPローン)につきまして続報が入りました。
2020年5月6日、米国財務省、およびSmall Business Association (SBA)のホームぺージ上にFAQsの更新があり、中小零細企業の定義である従業員人数に関して更に明確に示されました。下記更新されたFAQsのホームページリンクアドレスをご覧ください。
既報ではPPPローンを申請することができる中小零細企業の条件である従業員人数が500人以下であるかを計算する場合、関連会社も含めた「主たる居住地が米国にある従業員数が500人以下のビジネスを含める」としており、結果、海外関連会社従業員はその数には含めないかのような説明がありました。しかしながら、今回FAQ#44において明確に海外関連会社の従業員も会社規模の計算に含めるとの説明がなされました。その結果海外の親会社や子会社を含めた従業員数が500名を超える場合、このローン申請する条件を満たさないと読むべきではないかと考えられます。しかしながら、#44の500名従業員計算説明は#3で説明されている500名以上であっても申請が可能であるとの説明との間に齟齬があり、実際には今回の説明追加によってもすべてがクリアになったといい難い部分もあります。
また#31で特に強調されているようにローンの借主は関連会社ルールを確認し受給資格があるかどうかを自ら確認し、SBAに対してその説明・証明義務を負うことになっています。申請者が事業継続のため、PPPローン以外の資金源を有する場合などは受給資格があるとは認められません。例えば上場企業であり市場性が高く資本市場にアクセスが可能である場合は受給資格があると証明・実証することは難しいと思われます。しかしながら、上場企業関係会社の場合は受給資格がないのかということははっきりと書かれていません。
意図的に受給資格があることを装いSBAを欺いたと看做される場合「Good faith」がないと認識されることになりますが、2020年4月23日以前に申請し受給したローンを2020年5月14日までに自ら返却した場合は意図的に欺いたとは看做さず、「Good faith」として扱われることになります。
#39ではSBAは財務省の意見に基づき個別ローンにつき$2Mを超えるものについては必ず個別調査を行うと記されています。しかしながら、$2M未満であれば個別調査が入らないとは記されていないため、PPPローンを利用する場合は十分な注意が必要になります。SBAが借主のPPPローン受給資格を満たしていないと判断した場合、また「Good faith」ではないと判断した場合等の罰則も念頭に置く必要があると考えます。
最後になりますが今回の追加説明においても受給資格が明確に示されているとは言えず不明な点が多く残っています。今後新たなガイダンスが出ることが予想されますが、SBAが認可するかどうか、受給が決定したローンを返却した方がよいか、ローン申請を取り下げた方がよいか等に関しましてご不安がある場合には早急に弁護士に相談されることをお勧めいたします。