02.04.2022 | カテゴリー, Tax
不動産収入
不動産収入は、物件の所在地で課税されます。よって、米国赴任期間中に日本の留守宅を賃貸している場合、賃貸から発生する所得は基本的にその物件のある日本で課税されます。しかし、米国に赴任して税法上米国居住者となった場合、米国居住者期間中は全世界ベースの所得が米国で課税対象となるので、日本で発生した賃貸所得も、米国で課税されることになります。日本と米国の両国で課税対象となりますが、米国の確定申告書上で「外国税額控除」をとることにより、二重課税を防ぐことはできます。
年間を通して日本に居住している日本人で、米国の市民権、永住権を保持していない場合は、税法上米国非居住者となります。米国非居住者が、米国に賃貸物件を保持している場合は、賃貸物件のある米国で課税されるので、連邦および、物件の所在地の州での確定申告が必要になります。
税額の計算
年間の家賃収入(礼金、駐車場代、共益費等も含む)から、広告費、保険料、管理費、住宅ローン支払利息、修繕費、固定資産税、水道光熱費、減価償却費等の諸経費を差し引いて益が出た場合は、他の所得と合算して累進税率で課税されます。損失となった場合は、賃貸物件の持ち主が、物件の管理・運営にどれだけ関わっているか、所得制限等、一定の条件をクリアすると他の所得と損益を相殺して控除することが認められます。損失金の控除は最高$25,000(夫婦個別申告の場合は$12,500)まで認められますが、調整総所得が$150,000 (夫婦個別申告の場合は$75,000) を超えると控除はとれません。
減価償却費
賃貸物件は、土地と建物部分に分け取得金額を計上し、この内建物部分のみが減価償却の対象となります。米国外にある賃貸物件は30年、米国内の賃貸物件については27.5年の期間で、定額法を用いて償却します。賃貸物件取得金額は、原則として購入価格を購入時の換算レートでドル換算したものを使用します。
修繕費
門塀や防音装置の設置といった、大掛かりな修繕や設備等に係る費用は、資産計上することが必要になり、支払った年に必要経費として一括で控除をとることはできません。償却資産として計上し、年間の減価償却分を必要経費として所得から差し引きます。
日本での確定申告
日本で非居住者となっている場合、通常賃貸収入から20%の源泉徴収がされます。しかし、この徴収された税額は日本で確定申告をすることにより、取り戻すことができます。日本で確定申告をした結果納税が必要となった場合は、米国の確定申告書上で外国税額控除を取ることが可能となります。