03.18.2022 | カテゴリー, Tax
米国市民・永住権保持者が市民権・永住権を放棄する場合には、国籍離脱税の対象となる可能性があります。全ての人が対象となる訳ではなく、市民と長期にわたって永住権を保持した人(Long-term residents) が対象となってきます。長期永住権保持者とは、過去15年間に8年以上永住権を保持していた場合が該当します。そして、この市民と長期永住権保持者の内、以下の3つの条件を満たす場合に、国籍離脱税の対象となります。
3つの条件のいずれかにかかると、covered expatriatesとみなされ、国籍離脱税の支払いが必要となります。
国籍離脱税は基本的には、保有する全ての資産を、市民権・永住権を放棄する前日の時価で売却したと仮定した場合のみなし売却益(含み益)に対して課税されます。Mark to Market とよばれる考え方に基づくものです。売却益の計算には、$737,000(2020年度)の控除が認められるので、この控除枠を超えた売却益にのみ課税されます。
また、全ての資産にMark to Market、時価評価の考え方が適用されるわけではなく、異なる税率・規則が適用される資産もあります。以下の3つの資産がこの対象となります。
基本的には、401K、ペンション等の企業年金やIRA等の課税繰延所得、信託からの分配金については、Mark to marketとは異なる税率・規則が適用されると考えていいかと思われます。
なお、国籍離脱税の対象とならない市民・長期永住権保持者についても、IRSのForm 8854という様式の提出が必要となります。この様式を提出しない限り税法上市民権、永住権を放棄したとみなされない上に、$10,000の罰則が課される可能性があります。