12.19.2017 | カテゴリー, Tax
2018年各種税のインフレーション調整額の発表
2017年9月27日に共和党案の大規模税制改革案の骨子が発表されたばかりですが、2017年10月19日にInternal Revenue Service(米国歳入庁)(以下“IRS”)より2018年度のインフレーション調整による各種税率・調整額等が発表されました。(IRS Rev. Proc. 2017-58にて発表)
この発表は2018年度からの適用とされておりますが、もちろん現在審議中の税制改革案が2018年度に発効されることになれば当然これらの税率・調整額は税制改革案に変更ということになります。以下に共和党案そして2017年度と比較してどのように調整がなされたかをみていくことといたします。
個人所得税
税率 - 夫婦合算申告
税率 - 独身
税率 - 夫婦個別申告
共和党案では税率は12%、25%、35%そして更に上の税率も検討されているとされております。ただ、現時点ではTax brackets、つまり婚姻関係等による累進所得額の範囲はどうなるのかは不明となっております。
定額控除(Standard deduction)
Status | 2018 | 2017 |
夫婦合算 | $ 13,000 | $ 12,700 |
独身 | $ 6,500 | $ 6,350 |
夫婦個別 | $ 6,500 | $ 6,350 |
共和党案では夫婦合算では$24,000で独身では$12,000となっております。
個別控除(Itemized deduction)
個別控除の場合、定額控除とは異なり調整後総所得の額がある一定の額を超えた場合に個別控除額が減額されることになります。
調整後総所得額超 | ||
Status | 2018 | 2017 |
夫婦合算 | $ 320,000 | $ 313,800 |
独身 | $ 266,700 | $ 261,500 |
夫婦個別 | $ 160,000 | $ 156,900 |
現行医療費控除、州・市・地方税控除、固定資産税控除、外国税控除、住宅抵当借入利子支払い額控除、寄付控除、盗難・損失控除等が項目別控除の適用とされておりましたが、共和党案では住宅抵当借入利子支払いと寄付控除の2つのみが適用されることになり、従来州・市・地方税や住宅固定資産税により項目別控除を受けていらっしゃった方々に大きな影響がでるとされております。
人的控除(Personal exemption)
2018 | 2017 | |
各個人 | $ 4,150 | $ 4,050 |
人的控除はある一定の調整後総所得額が超えた場合、その人的控除が段階的に減額され、更に一定額を超えると人的控除が取れなくなります。その額が以下のようになります。
調整後総所得額 | 調整後総所得額 | |||||
2018 | 減額開始 | 完全減額 | 2017 | 減額開始 | 完全減額 | |
夫婦合算 | $ 320,000 | $ 442,500 | 夫婦合算 | $ 313,800 | $ 436,300 | |
独身 | $ 266,700 | $ 389,200 | 独身 | $ 261,500 | $ 384,000 | |
夫婦個別 | $ 160,000 | $ 221,250 | 夫婦個別 | $ 156,900 | $ 218,150 |
人的控除は共和党案では廃止となっております。
遺産相続税
遺産相続税は共和党案では廃案となる予定ですが、このまま共和党案が発効しなければ以下のようになります。
2018 | 2017 | |
遺産相続税控除額 | $ 5,600,000 | $ 5,490,000 |
その他の消費者物価指数による調整
社会保障税調整
米国社会保険庁(Social Security Administration)は2018年度の社会保障税の課税上限額を以下のように発表しております。
2018 | 2017 | |
Tax rate | 7.65% | 7.65% |
課税上限 | $ 128,700 | $ 127,200 |
401K年金掛け金上減額 (IRS Notice 2017-64にて発表)
2018 | 2017 | |
掛け金上限 | $ 18,500 | $ 18,000 |
従来の共和党案では401Kの拠出金上限金額の減額を検討されておりましたが、トランプ大統領のコメントで401Kの拠出金上限金額の減額は行わないとしております。しかし実際に共和党案でも同様の扱いになるのかは不明となっております。
最後に
2017年9月27日に共和党案が出た後に2018年国家予算案が議会に諮られ、その予算案が通らなければ共和党の税制改革案の審議が難航されるだろうと予想されておりましたが、2017年10月26日に上院承認の2018年度国家予算決議案が下院にて216対212で可決を受け、いっきに税制改革案の実現の可能性が帯びてきました。これにより法案作成への道が開けられることになり、上院での調停案審議へ進むことになります。
今後税制改革案に沿った法案の作成が行われますが、年内には具体的な法案をトランプ大統領へ提出したいとのことです。もしこの日程で税制改革が行われるのであれば今回2017年10月19日にIRSより出された物価調整等の数字は暫時的な扱いとなり、実際に共和党案が実現されるまでのつなぎという扱いとなります。ですので今後も共和党案の税制改革案がどのタイミングで発効されるのかは充分な注視が必要となります。