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米国個人所得税確定申告シリーズ (2) キャピタルゲイン

01.20.2023 | カテゴリー, Tax

シリーズ(2)では譲渡所得、キャピタルゲインについてご説明します。 

キャピタルゲイン(ロス)とは不動産、株式、債券、仮想通貨/暗号資産などの資産の売却から生ずる譲渡損益です。1年を超えて保有していた資産からの売却益は長期キャピタルゲインとして0~20%の優遇税率が適用されます。 保有期間が1年以内のものは短期キャピタルゲインと呼ばれ、通常の累進税率が適用されます 

売却益と売却損を相殺してキャピタルロスが出た場合は、最大$3,000(独身または夫婦個別申告時は$1,500)まで通常の所得と相殺することができます。また、相殺し切れなかった分については、次年度以降に期限なく繰越が認められています。 

ここがポイント 

  • 長期キャピタルゲインは、通常の課税所得よりも有利な税制上の取り扱いを受けます。 
  • 長期としての取り扱いを受ける場合は、1年を超えて保有した後に投資利益を実現する必要があります。 
  • 長期キャピタルゲインには、0~20%の優遇税率が適用されます 
  • 一方、保有期間が1年以内の場合の短期キャピタルゲインには通常の累進税率が適用されます。
     

1.主たる住居の売却 

主たる住居を売却した場合、購入金額よりも売却金額が高ければ利益が発生しますが、売却益のうち、$250,000(独身または夫婦別申告)、または$500,000(夫婦合算申告)までは、以下2つの条件を満たす場合に非課税とする事が認められています 

  • 納税者が住居を所有している場合(所有条件)、そして 
  • 売却前5年間のうち、少なくとも2年間を主たる住居として本人(夫婦の場合はどちらか一方)が居住していた場合(居住条件) 

非課税枠を超えた売却益は長期キャピタルゲインとして課税されます。なお予測不可能な理由(転勤、健康上の理由、その他規定に定める場合)により、上記の条件を満たす事が出来ない場合であっても、この非課税規定は部分的に適用される事があります 

売却損については個人損失となり控除の対象となりません。
 

2.株式、証券等の売却 

前述しましたように、一年を超えて保有した資産の売却益は長期キャピタルゲインとなり優遇税率が適用されます。一方、短期キャピタルゲインには通常の累進税率が適用されます 

また、一定の条件を満たす適格配当金(Qualified Dividend)にもこの優遇税率が適用されます。適格配当金とみなされるには、配当落ちの前後 60日の計121日の間に60日を超えて株式を保有している必要があります。
 

3.キャピタルゲイン税率と区分 

シリーズ(1)でご紹介した連邦所得税率が7段階に区分されているのに対し、長期キャピタルゲインの税率は3段階に区分されています。またキャピタルゲイン税率は課税所得と申告身分によって0%、15%、20%と段階的に上昇します。 

税率  独身  夫婦合算申告  夫婦個別申告 
  課税所得額 
0%  $41,675以下  $83,350以下  $41,675以下 
15%  $41,676 ~ $459,750以下  $83,351 ~ $517,200 以下  $41,676 ~ $258,600以下 
20%  $459,751以上  $517,201以上  $258,601以上 

 

尚、この税率は連邦所得税のもので、それとは別途に州・地方税が加算されます税率は州によって異なります。 

 

 

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