03.22.2023 | カテゴリー, Tax
シリーズ第6回目はアメリカ国籍離脱税(Expatriation Tax)についてです。米国市民・長期永住権保持者が市民権・永住権を放棄する場合に、アメリカ国籍離脱税の対象となる可能性があります。ここでの長期永住権保持者(Long Term Resident)とは過去15年の内、8年以上永住権を保持していた場合が該当します。1年の中で1日でも永住権を保持していた場合、その年は1年と数えます。
市民権または長期永住権保持者で、以下の3つの条件の内、いずれか一つに該当する場合に、国籍離脱税の対象者(Covered Expatriate)となり、放棄年の最後の確定申告書にIRS Form8854を添付して提出することが義務付けられています。
なお、以下の3つの条件を満たさず、国籍離脱税の対象とはならない市民・長期永住権保持者についても、Form 8854の提出が必要となります。この様式を提出しない限り、移民法上では放棄となっていても、税法上では市民権、永住権を放棄したと見なされません。またこの書類を提出していない場合、$10,000の罰則が課される可能性がありますのでご注意下さい。
3つの条件は下記となります。
国籍離脱税は基本的にMark to Market(時価評価)の考え方に基づくもので、市民権・永住権を放棄する前日に全所有資産を時価で「売却」したものとみなし、そのみなし売却益(キャピタルゲイン)に課税される制度です。ただし$767,000(2022年度)の控除が認められますので、この控除枠を超えた売却益にのみ課税されます。
また全ての資産にMark to Marketの考え方が適用されるのではなく、異なる税率・規則が適用される資産もあります。以下のような資産がこの対象となります。