会計税務 AtoZ

ホーム » 会計税務 AtoZ » 雇用継続による給与税還付の不正受給に対する自主返納恩赦制度

  

雇用継続による給与税還付の不正受給に対する自主返納恩赦制度

10.11.2024 | カテゴリー, Tax

虚偽の申請によってEmployee Retention Credit(雇用継続による給与税還付、以下”ERC”)を不正受給した企業に対してInternal Revenue Service(内国歳入庁、 以下“IRS”)は第2回自主返納恩赦制度を実施しています。 ERCとは、コロナ禍のピーク時に緊急事態宣言の下、収入の激減にさらされながらも雇用を継続した企業向けの給与税還付制度のことで、連邦政府によるコロナ禍救済制度の一つです。

第2回自主返納恩赦制度は、2021年度のForm 941-X(Adjusted Employer's Quarterly Federal Tax Return or Claim for Refund)を虚偽に申請し、不正に還付を受給した企業を対象に、不正に受給したことを自主申告し、受給した還付額の85%を自主返納することで不正受給による民事罰や返納遅延による利息を免除する制度です。当時申請した給与税還付額に利息がついて還付されていた場合は、この恩赦制度を利用することで受取利息分の返納が免除されます。また、返納条件である全還付額の85%を一括返納できない場合については、申請によりIRSの同意を得て分割返納が認められます。現在犯罪捜査の対象下にある企業を除いて、第2回恩赦制度は2024年11月22日まで応募が可能です。応募を希望する企業は、IRSの書類アップロードツール(www.irs.gov/DUT)にForm 15434 (Application for Employee Retention Credit Voluntary Disclosure Program)を提出する必要があります。

第2回恩赦制度では返納額が85%に引き上げられていることから、3月22日に終了した第1回恩赦制度(受給額の80%が返納条件)と比べるとそれほど寛大な恩赦とは言えませんが、IRSによると、2,600件を超える企業が初回の恩赦制度を利用し、税務調査を免れたとのことです。

IRSが第2回恩赦制度を推奨している一方で、議員たちは、ERC申請から還付までの期間が長期にわたることについてIRSを厳しく非難しており、マーク・ワーナー(民主党-バージニア州)上院議員及びティム・ケイン(民主党-バージニア州)上院議員はForm941-X( ERC申請)の処理の遅延が、還付申請を行った企業を非常に厳しい状況においやっていると書面にて抗議しています。こうした企業の多くは、IRSから進捗状況の連絡すらないまま一年以上も還付を待っている状況です。議員たちは、これ以上無期限に還付を待つ余裕が企業側にはないため、還付に関する連絡をIRSからいつ受け取ることができるのか、特に財政困難に直面している企業が優先的に還付を受給できる方法があるのかについて説明を求めています。

当事務所についてご興味のある方はお気軽にお問い合わせください

お問い合せ