会計税務 AtoZ

米国外に一定額以上の銀行等の金融口座を保持するUS Person（米国市民、居住者や該当組織など）は毎年Form 114 ; Report of Foreign Bank and Financial Accounts (FBAR) の申告義務があります。こちらはInternal Revenue Service (内国歳入庁、以下“IRS”）への税務申告書とは別で米国財務省のFinancial Crimes Enforcement Network (FinCEN)に提出するものです。申告を怠った場合、意図的でない場合には違反ごとに最大10,000ドルのペナルティが科されます。一方、意図的な場合は刑事責任を問われたり、また口座残高の50%や500,000ドルまでのペナルティを科されることもあるようです。2005年から2009年までFBARを報告しなかったためにペナルティを科された夫婦に対して、政府は未払のペナルティを回収するために社会保障給付を差し押さえる意向を通知しました。同夫婦はIRSに徴収手続きの聴聞（collection due-process (CDP) hearings（脚注１参照））を要求しましたが、却下されています。IRSによると、FBARのペナルティは税金とは見なされず、徴収手続きの聴聞は未払いの税金に関連する徴収案件にのみ適用されるとされています。また税務裁判所も、FBARのペナルティは税法によって課されていないとし、代わりに連邦法第31章がペナルティに関連する評価および徴収手続きを定めていると認めています。

なおFinCENに報告義務がある新しい制度として、2024年から施行されているBeneficial Ownership Information Report (BOIR)があります。この報告を意図的に怠った場合、最大で２年間の禁固刑もしくは$10,000のペナルティが科される可能性がありますので、FinCENへの報告義務があるかどうか、今一度ご確認いただくことをお勧めします。

脚注１）A CDP hearing is an opportunity to discuss alternatives to enforced collection and permits you to dispute the amount you owe if you have not had a prior opportunity to do so.