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FinCEN Beneficial Ownership Information Reporting (受益所有者に関する報告制度)について

02.09.2024 | カテゴリー, Tax

2024 年 1 月 1 日より、企業透明性法 (Corporate Transparency Act)による、一定の企業の所有者またはコントロールする個人(合わせて「受益所有者」)の連邦政府への受益所有者に関する情報報告制度、Beneficial Ownership Information (“BOI”)が開始しました。

以下にBOI報告の概要を記載しておりますが、こちらの内容は一般的なものとなり、個々のケースへの適用を意図しているものではありません。また、EOSではこの説明書によるいかなる責任も負いかねますことご了承下さい。BOI報告の詳細はFinCENのウェブサイト(https://www.fincen.gov/boi)にてご確認下さい。また、個々のケースへの適用は、専門家による詳細な検討が必要となることもあることをご留意下さい。

Beneficial Ownership InformationBOI、受益所有者の情報)の報告の概要

BOIの報告は、各企業の受益所有者を米国の法執行機関が把握し、マネーロンダリング、テロ資金供与、その他の違法行為に関わる組織活動を防止することを目的とし、米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)に対して行われます。

報告が必要な法人

米国法人のみならず外国法人も対象となる可能性があります。米国法人のうちCorporation、LLC、もしくは州等の法律に基づきSecretary of Stateまたは類似の法務局など官庁に文書を提出して設立された法人が対象となります。外国法人のうち、米国内の州等のSecretary of Stateまたは類似の法務局など官庁に事業を行う登録を行った法人が対象となります。

 

報告義務の免除

BOIの報告義務が免除される対象として米国上場企業、銀行、証券会社、慈善団体などの23の免除事業体が列挙されております。

加えて、多くの日系企業が該当となるであろう免除事業体に下記のものがあります。

  1. 「Large Operating Company(大規模事業体)」
    • 大規模事業体の要件:米国内に20人を超えるフルタイム従業員を雇用し、
    • 米国内に事務所など実態として事業を行う一定の場所があり、
    • IRSへ申告した前年の法人税申告書において500万ドルを超える売上、ただし海外源泉所得を除く、がある法人
  2. 免除事業体の子会社

上記の大規模事業体を含む、BOIの報告義務が免除される事業体の子会社

受益所有者とは

BOIの報告対象となる受益所有者(Beneficial Owner)とは、法人の所有権の25%以上を直接または間接に所有する個人、または法人に対する実質的な影響行使能力を有する個人です。

報告が必要な内容

報告義務法人(Reporting Company)は下記の情報を報告します。

  • 報告義務法人(Reporting Company)の情報:法人名、納税者番号 (Employer Identification Number等)、納税者番号の種類、設立州(国)、外国法人の場合は最初の事業登録州、住所
  • 受益所有者(Beneficial Owner)の情報:氏名、生年月日、住所、Identification Document (“ID”)情報記載書類、ID番号、ID情番号発行行政名、当該ID情報記載書類の画像
  • 2024年1月1日以降に設立もしくは登録された法人の場合の会社設立・登録申請者(Company Applicant)の情報:氏名、生年月日、住所、ID情報記載書類、ID番号、ID情番号発行行政名、当該ID情報記載書類の画像

BOI初回報告の期日

2023年12月31日以前から存在する事業体の報告期日は、2025年1月1日となります。

2024年中に設立(登録)された会社の場合、期日は設立(登録)日より90日以内となります。

2025年中に設立(登録)された会社の場合、期日は設立(登録)日より30日以内となります。

BOIの以降の報告期日

BOIの内容に変更があった場合(受益所有者の変更、ID番号の変更など)、30日以内の報告義務が発生します。

コンプライアンス違反のリスク

BOIの報告義務を怠った場合の罰則は、民事罰として1 日あたり 500 ドル以下の罰金、および刑事罰として、10,000 ドル以下の罰金、2 年以下の懲役刑のいずれか又は両方が科される可能性があります。

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