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米国個人所得税確定申告シリーズ (5) 長期出張者、研修生・留学生の税務

03.14.2025 | カテゴリー, Tax

シリーズ第5回目は長期出張者、研修生・留学生の税務についてです。

 

長期出張者

日本から頻繁に出張される社員の中には、予期せず滞在が長期におよび、納税が必要になるという場合があります。出張者が米国内で役務提供を行った場合、給与所得が米国外で支払われても、通常その所得は米国源泉所得と見なされ課税対象となります。

ただし、米国外の雇用主に対して役務を提供し、米国源泉所得が$3,000以下で、かつ米国滞在日数が90日以内の場合は、米国国内法が適用され免税となります。

では、滞在日数が90日を超えた、課税とみなされる所得が$3,000を超えたというような場合はどうでしょうか。その場合には、日米租税条約第14条を適用し免税とします。下記の3つの条件を満たす限りにおいては、短期滞在者規定が適用され、出張中の米国源泉所得を非課税扱いとすることが認められています。

  1. 当該課税年度において開始、または終了するいずれの 12 か月においても、米国滞在期間が合計 183 日以内である。
  2. 報酬が米国の居住者でない雇用主から支給される。
  3. 報酬が米国に有する恒久的施設によって負担されるものではない

なお、この免税規定は連邦税のみに適用されますので、出張先の州によっては州税が必要となります。

上記3条件を満たさない場合には、様式Form 1040NRと様式Form 8833を用いて、非居住者として(日米租税条約により非居住者と判定される限り)、申告、納税をすることになります。

出張ベースで米国子会社において業務などを行う場合、滞在日数を管理した上で必要な税務上の手続きをとることが必要になります。

 

研修生・留学生

FやMなどのビザで滞在する研修生、留学生等は、必要な報告を行うことによって、免税措置を受けることが可能です。

通常永住権を保持しない外国人は、実質的滞在条件テストを用いて税法上米国居住者となるか、非居住者となるかの判定を行います。しかし、FやMビザの保持者にはこのテストの適用が免除されており、1年を通して米国に滞在していても税法上非居住者とみなされます。Fビザ保持者(留学生)は基本5年間、J ビザ保持者(研修生等)は基本2年間、非居住者として申告をすることが可能です。

米国で収入や奨学金がなく、生活費・学費を日本からの給付、仕送りや貯金で賄っている留学生は米国での課税が免除される為、Form 8843 (Statement for Exempt Individuals and Individuals With a Medical Condition)のみIRSへ提出します。FビザやJビザ保持者が”Exempt Individual“のルールに該当することをIRSへ報告するための様式がForm 8843です。キャンパスでの就労などの収入がある場合は、Form 1040NRとForm 8843を提出します。

企業から派遣された研修生、留学生の場合、米国外の雇用主から支払われる給与所得や手当などは米国外の雇用主が負担することを条件として非課税扱いとなります。

なお、上記の取り扱いも連邦税に適用されるもので、州によっては州税の納税が必要になるケースもありますので注意が必要です。

 

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