03.28.2025 | カテゴリー, Tax
シリーズ6回目は米国市民権保持者の申告書提出期日及び国籍離脱税についてです。
米国市民権保持者や永住権保持者は、世界中どこにいても米国居住者として全世界収入の申告が義務付けられています。米国外に居住する申告者は2か月の自動延長が認められるため、2025年の申告書提出期日は6月16日になります。しかし、延長されるのはあくまでも申告書の提出期日であって、納税は納付期日の4月15日までに行う必要があります。また、6月16日までに延長申請書類を提出することで、10月15日まで更に4か月間の延長が認められます。
次に国籍離脱税についてです。米国市民、長期永住権保持者 (Long Term Resident: 過去15年の内、8年以上永住権を保持していた場合)が市民権、永住権を放棄する場合、放棄年の最後の確定申告書にIRS Form 8854 (Initial and Annual Expatriation Statement)を添付して提出することが義務付けられています。
また、アメリカ市民権、長期永住権保持者が以下の項目の内、一つでも該当する場合には“Covered Expatriate ”とみなされ、アメリカ国籍離脱税の対象となります。
なお、米国市民、長期永住権保持者が市民権、永住権を放棄する場合、国籍離脱税の対象となるならないに関わらず、Form 8854の提出が求められ、このFormを提出することで、税法上市民権、永住権の放棄が受理されます。なお、このFormを提出していない場合は、$10,000のペナルティが課せられる可能性がありますので、注意が必要です。
国籍離脱税は、基本的にMark to Market Tax(時価評価税)と考えられています。
市民権、永住権を放棄する前日に全所有資産を市場価格で売却したものとみなし、そのみなし売却益(キャピタルゲイン)に対して課税される制度です。ただし、2024年については$866,000の控除が認められていますので、この控除枠を超えた売却益に対して課税されます。
但し、Mark to Market(時価評価)の考え方は、以下の資産には適用されません。
これらの資産を保有する場合の課税は複雑になりますので、市民権、永住権の放棄を考えている場合、専門家に相談の上、事前の十分なプランニングが必要となります。
https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/f8854.pdf