01.01.2016 | カテゴリー, Tax
米国市民および米国税法上居住者となる納税者においては、米国外にある金融資産の情報を米国税務当局に開示することが義務づけられています。従来からの外国金融口座報告書(Form FinCEN 114, ”Report of Foreign Bank and Financial Accounts (FBAR)”)に加えて、2011 年の確定申告からは外国金融資産報告書(Form8938“Statement of Specified Foreign Financial Assets”)にて、同様の情報を確定申告書の一部として報告することが求められています。
外国金融口座報告書は、Treasury Department Bank Secrecy Act Rule により、マネーロンダリング規制を目的に導入されたもので、申告書とは別に財務省(Department of the Treasury)に 6 月 30 日を提出期日として報告が必要とされるものです。なお、2013 年度からは、外国金融口座報告書は電子申告が義務付けられています。一方、外国金融資産報告書は 2010 年 3 月に施行された雇用促進法(Hiring Incentives to Restore Employment Act、“HIRE Act”)の一部である外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)の規定により、一般的に税金の申告漏れを取り締まることを目的として導入されたものであり、申告書の一部として内国歳入庁(IRS)に米国外金融資産の内容を報告をすることが義務付けられています。両報告書ともに開示目的、様式は異なるものの、開示が必要とされる内容については類似します。ただし、外国金融資産報告書においては、外国金融口座報告書より、より広い範囲での開示が求められ、一般的な金融資産に加え投資目的の金融商品、退職金、年金プラン等についても情報の開示が必要となります。
なお、報告は米国外金融資産の残高がある一定の限度額を超える場合に必要とされ、報告内容としては、金融機関名、住所、口座番号、口座の内容、評価額等の詳細が必要となります。申告を怠った場合には、多額の罰金を課されることになりますので、必要な情報をあらかじめ準備し、提出期日に遅れることなく、情報を漏れなく開示、報告することが重要となります。