共和党による企業優遇税制の提言
08.04.2023 | カテゴリー, Tax
政府の債務問題が回避されたことを受け共和党の下院議員の中で以下の税制改正の提言を打ち出しています。
- 減価償却について
現行のボーナス減価償却(100%一時償却)は2023年度より当該優遇が逓減されます。2023年度は80%に減少します。下院共和党内ではボーナス減価償却の初年度100%償却を復活させる案および税法179条の償却制限額を116万ドルから250万ドルに引き上げる提案が出されています。
- 研究開発費の一時償却について
2021年以前は企業は研究開発費を発生した年度に一時償却することが認められていました。しかし2017年の税制改革法により、2022年以降の課税年度からは企業は研究開発費を資産化し5年間(海外事業に関連した研究開発費については15年間)にわたって償却しなければなりません。共和党では企業の研究開発費の発生年度での100%一時償却の復活案を提言しています。
- 大企業の事業負債に関連した利息費用に対する税務上の損金制限について
2017年の税制改革法により、現行大企業の事業負債に関連した利息費用の損金額は調整後課税所得の30%に制限されます。共和党案はこのような制限を盛り込んでいません。
しかしながら、こうした共和党の税制改正案が昨年成立したインフレ削減法に規定されたエネルギー関連の優遇税制を廃止して財源を捻出するとしていること、また民主党が推進している子女税額控除や勤労所得控除の拡大などを含んでいないことから、現状では下院を通過する可能性はあるものの上院では可決されないと見込まれています。